「海の中の散歩道」立ち上げた経緯やら、つぶやきとかを書いてみよう・・・かと。


NEW 2004/07/01 なぜこのサイトを立ち上げたのか?
NEW 2004/08/23 図鑑に望むこと

なぜこのサイトを立ち上げたのか?

 表に書いた通り「なりゆき」もあるんだけど、実はそれ以外の理由もある。 一言で 「誰もやらないから、そして、やれないから」。 せっかく海に潜れるスキルも環境も、 そして時間と少しばかりの経済力もできたのだから、地元の海を楽しんでみたい。 わざわざ伊豆まで行かなくとも地元にも海はあるのだから。

 たしかに伊豆の人気スポットまで行けば、ダイナミックな地形に珍しい魚、そして そこに居る生き物を知り尽くしたカリスマガイドさんによって、至れりつくせりの ダイビングを楽しむことができるだろう。少なくとも、今の ポイントに潜り続けるよりは (他の意味でも?)目の保養にもなるだろう。でも、そんなカリスマガイドさん達を独占して 潜るような事は、人気スポットという場所柄が許してくれない・・・という以前に経済的にも、 また、早起きが苦手で長距離ドライブも嫌いというのも当初の大きな理由だった。

 早川で潜っているガイドさんの中には、確かに生き物を見つけるのが上手な人もいるのだが、 残念な事に、ポイント開発にはあまり力を入れてくれてはいないように思う。やっぱり、 お客さんが伊豆に行くのを望めば当然なのかもしれない。そしてボクより遥かにベテランな ダイバーは、ボクより遠くから来て、早川のビーチポイントの上にある道路を素通りして伊豆を 目指しているのは事実。あまり潜ったことのない海よりも潜り慣れた海で、しかも情報が入り やすいなら当たり前だと思う。ポイントが開発されていないから、なおさら情報は出にくい。

 結局、自分のモノグサと満足感の両方をクリアするには自分でなんとかしなければならない、 というのが本当のところ。

 そしてもうひとつ。 早川で潜っているガイドさんたちが、まだ確認していない生き物を 見つけて先に証拠写真を撮っちゃえば、全て「初記録」となる。このページを始めた頃には 早川で確認された魚は100種類前後しかなかった。ところが、ボクともう1人でまともに 調べ始めたらあっと言う間に200種を超えてしまったようだ。 もう1人の人も、ボクも、 いわゆる研究者ではないし、プロダイバー(インストラクターとか)でもない。

 ボクたちは研究者よりも遥かにフィールドに潜る機会が多いし、プロダイバーよりも好きな 時に好きなポイントで潜れる。そしてお客さんを連れているわけでないから、減圧とエアーが 許す限り納得いくまで写真も撮れるし、観察もできる恵まれた環境にいる。研究者の多くは、 フィールドのほかにも仕事は山積みだし、そちらが本来の職業である場合が多い。プロダイバー の多くは作業だったり、お客さんを連れていたりするんだから、当然お客さん優先になる。 中にはお客さんを自分の世界に引きづり込んじゃうようなツワモノもいるけど。

 ボクたちが見かけた、もしくは撮った生態写真の中には研究者が知らなかった情報や 欲しがっている情報も埋もれている可能性がある。例えば、何気なく撮った写真は、その生物 北限記録や南限記録を塗り替えるかも知れないし、生息地域とされている場所が、その写真を きっかけに増えることになるかも知れない。ただ、研究者も、ボクたちアマチュアも、どう やったらお互いにプラスになる情報交換ができるか方法論が確立されていないように思える。

 そういう意味で、国立科学博物館生命の星地球博物館で提携して公開されている魚類写真資料DBは 研究者サイドからのアマチュアへのアプローチであると思うし、アマチュアから研究者への 逆方向のアプローチもあって良いと思う。それには、なるべく詳細な情報を継続的に積み上げて 行くことが第一歩だと思う。まだ形は決まっていないので、せめて今後のための「たたき台」に なれば作った甲斐もあると思うし、これからの人たちがより良い方法を作り出してくれる事を 密かに期待している。  2004.7.1記



図鑑に望むこと

 ボクが図鑑に対して常に望むのは、なるべく最新の、そして最も有力な分類に追従して改版を重ね続ける事。 また、なるべく多くの地域、環境、状態、成長ステージでの生態写真が掲載されている事。もちろん 掲載されている種の数は多いほど助かるし、場合によっては何分冊かに分けても構わない。

 何故なら、ダイビングって結構お金がかかる。もちろん人それぞれの楽しみ方があるわけだが、 ボクは少なくともダイビングを終わって記録するログブックには、自分が見たか見てないか分からないような 生物の名前なんか書きたくない。もちろん、ガイドさんがそこのポイントでは自分より遥かに経験を積んでいる いわゆる「神様」ではあるけど、ガイドさんだって分からない生き物はいくらでもいるハズだ。

 少なくとも、例えそれが始めて見る生き物達であっても、動物園を一周回ってくるようなダイビングには 高いダイビングフィーを払う気がしない。そのためにボクもカメラを持って可能な限り写真は撮るし、例え 結果として、そのポイントの目玉を見逃したとしても、自分の好奇心を優先した結果であればOKである。 そして、「何だろう?」と撮った写真を元に、その名前を探す最初の手段が生態写真図鑑であり、ほとんどの ガイドさんも同じハズである。

 最も初歩的な名前の検索手順が、図鑑に載っている写真と自分の撮った写真との「絵合わせ」なので、 地域ごとに違いがある種類や、成体になりかけとか、婚因色になっているとか、夜は体の模様が変わる とか、そういった情報を知らない限り「絵合わせ」自体が成立しない場合がたくさん出てくる。当然、 種類によっては「極めて稀」とか「生態写真がほとんど無い」といった理由で同じ写真にならざるを得ない 場合もあるが、可能な限り「使い廻しの、他の図鑑でも同じ写真が1枚だけ」といった図鑑は、もはや 「使い物にならない」。

 改版しないのも同じ事で、せっかく和名が付いたのに「〜の一種」のままでは、図鑑そのもものの役目が 終わってしまう。昔のログに書いていたのが、「〜の一種」では殆どの場合、何を見たか時間が経てば 分からなくなってしまう。それでは「記録」としてのダイビングログの価値が半減してしまう。絵や写真が 残っていれば、まだ何とかなるかも知れないが。